講座内容の一例を紹介します
現在日本において幅をきかせている「傷寒論」は、「素問」においては熱に関する篇に記載されていますが、簡潔に表現すると三陽が滞ると生じる病であると理解できます。滞る原因は様々ですが、主因は寒さと飢えに起因すると書かれています。
この事柄を陰陽五行に基づいて表現すると上記の図①が図②に変化していく過程を、順序よく条文で一文一文表現されたのが「傷寒論」であると理解できます。
しかし、「傷寒論」でいう少陽病になってしまうと、(当時の時代ではわからなかったためと考えますが)大抵、身体に水が溜まる、つまり肺水腫や腹水などの症状が生じています。通常ですとその先の太陰病、少陰病、厥陰病と進みますが、7~8割の確率で呼吸困難な症状が生じ、心不全のような状態になり死に向かいます。少陽病の記載が少ないのはその為と考えられます。
この度のコロナ禍において、未知のウイルスによる病が蔓延しておりますが、これは「傷寒論」と症状が似ていますが処方が全くあてはまることはないでしょう。なぜなら、コロナは脾虚を主因としているからです。
脾虚の状態を改善する場合、一般的に「人参」「黄耆」「白朮」などを考える人もおられますがこれではダメです。
また、コロナの状態は上記に示した図②になりますが、先に述べたように原因が全く異なります。その為「傷寒論」の処方は役に立ちません。